ゴーン氏の逮捕(2018年)以降の日産の歴史を振り返ると、同社の低迷にはいくつかの明確な「失敗ポイント」がある。以下、特に致命的だったポイントを挙げる。
1. 経営の混乱とリーダーシップ不在
ゴーン氏が逮捕されると、日産は急速に「権力闘争モード」に突入し、経営の安定性を失った。
✅ 失敗点:
- ゴーン氏の後継者問題が迷走し、内田誠氏(現CEO)に落ち着くまでゴタゴタが続いた
- ルノーとの関係悪化により、アライアンス戦略が機能不全に
- 会社の方向性を決めるリーダーシップが不在だった
⚠ 影響:
- 経営の意思決定が遅れ、新たな成長戦略を打ち出せず
- ルノーとの関係がギクシャクし、アライアンスの強みを活かせなかった
2. 商品力の低下とブランドの迷走
ゴーン時代は「コストカット重視」だったが、それでもヒット車種を定期的に投入し、ブランド価値を維持していた。しかし、ゴーン後は商品戦略が迷走。
✅ 失敗点:
- 主力モデルの刷新が遅れた(エクストレイル、フェアレディZ、GT-Rなど)
- EVシフトでテスラやBYDに遅れをとった
- 「かつての日産らしさ(技術の日産)」が失われた
⚠ 影響:
- 日本市場でトヨタ、ホンダとの差が開く
- EV市場ではリーフの後継がパッとせず、アリアも微妙な結果に
- 「ワクワクする日産車がない」という声が増えた
3. コストカットだけで勝負しようとした
ゴーン時代からの流れで、コストカットは日産の経営戦略の中心だった。しかし、ゴーンが抜けた後もこれを引きずりすぎた。
✅ 失敗点:
- 質の悪いコストカットで商品力まで落ちた(プラスチック感満載の内装、走りのつまらなさ)
- 開発費削減で魅力的な新車が出せなくなった
- 低コスト車ばかりで「日産の個性」が消えた
⚠ 影響:
- トヨタ、ホンダと比較すると「安っぽい」印象が強まり、ブランド価値が低下
- 利益率の高い車が作れず、業績も上がらない
4. アメリカ市場の崩壊
ゴーン時代、日産は北米市場を重視し、販売奨励金(インセンティブ)を乱発してシェアを伸ばしていた。しかし、これが裏目に出た。
✅ 失敗点:
- 値引き販売を続けたせいで、ブランド価値が暴落
- ディーラーが利益を出せなくなり、関係悪化
- リースやサブスク中心の販売で中古車価格も低迷
⚠ 影響:
- 「日産車は安売りブランド」というイメージが定着し、利益率が低下
- アメリカ市場でのシェアが急落し、販売台数も減少
5. EV戦略の遅れ
日産はリーフでEV市場の先駆者だったが、テスラや中国メーカーが台頭する中で開発スピードが鈍化。
✅ 失敗点:
- アリアの開発が遅れ、価格も高すぎて売れない
- 中国市場ではBYDやテスラに完全に負けた
- EVのラインナップが少なく、競争力不足
⚠ 影響:
- 世界のEV競争に乗り遅れ、未来の成長が見込めない
- かつて「EVのパイオニア」だったはずの日産が、今では「EVの負け組」に
総評:ゴーン後の日産の失敗は、”決断力の欠如”と”ブランド力の喪失”
ゴーン氏のカリスマ的なリーダーシップがなくなったことで、日産は「何を目指すのか」が不明瞭になり、迷走した。
✅ 主な失敗パターン
- 経営陣の迷走 → 方向性がブレる
- 商品開発の遅れ → 競争力を失う
- コストカットが裏目 → ブランド価値の低下
- アメリカ市場の低迷 → 収益悪化
- EVでの出遅れ → 未来が見えない
じゃあ、日産はもうダメなのか?
今のところ「復活の兆し」は見えにくい。
ただし、2024年以降は以下のようなチャンスもある。
🔹 ルノーとの関係改善 → ルノーとの新しい提携で、技術共有が進めば競争力UP?
🔹 EVの巻き返し → 新型EVでテスラやBYDに対抗できれば可能性あり?
🔹 ブランド再建 → GT-Rやシルビア復活で「日産らしさ」を取り戻せるか?
ただ、現状の流れでは「ホンダやトヨタに対抗するのは無理ゲー」な状態。
本気で立て直すなら、「日産=安売り」のイメージを払拭し、”技術の日産” を復活させるしかない。