柏崎刈羽原発が8月に再稼働できる確率はどれくらいですか? =>【8%】

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いま把握できる「客観的なハードル」と「カギとなる手続」を積み上げて確率を概算すると…

ステップ現状8月までにクリアできる見込み便宜上の通過確率
① 技術面
6号機の燃料装てんと使用前検査
6月10日に燃料装てん開始。検査が順調なら8月にも技術的準備完了と東電が説明。 niigata-nippo.co.jp高い(ほぼ社内工程)≈ 85 %
② 立地2自治体(柏崎市・刈羽村)の同意両首長は既に前向き姿勢を表明。 neimagazine.com比較的高い≈ 80 %
③ 県民説明会・意識調査県主催の公聴会と意識調査を6〜8月に実施予定。 niigata-nippo.co.jp日程的には実施可能だが結果次第≈ 60 %
④ 花角知事の最終判断「遅くとも2026年6月の知事選まで」と明言し、判断時期は明確にしていない。 niigata-nippo.co.jp8月までに GO サインを出す可能性は低め≈ 25 %
⑤ 県議会・手続き仕上げ知事承認後に議会報告など慣例的プロセス④が通れば早い≈ 80 %

概算総合確率
0.85 × 0.80 × 0.60 × 0.25 × 0.80 ≒ 0.082 → 約8 %


なぜ「一桁%」にとどまると見るか

  1. 最大のボトルネックは知事判断
    花角知事自身が「県民の理解を見極める」と繰り返し、期限を明確化していません。県民投票を求める署名や反対運動も続いており、早期決断には政治的リスクが大きい状況です。argusmedia.comcnic.jp
  2. 県民世論は「条件付き賛成」が最多だが二分
    5月に資源エネルギー庁が行ったネット調査では「条件付き賛成」を含め賛成が約5割で反対を上回りましたが、無条件賛成は2割に届きません。知事が“県民の納得”を理由に判断を先送りする余地が残ります。uxtv.jp
  3. 政府・東電は“FY2025 中”を公式目標に据える
    東電の事業計画や経産省の支援策では「2025年度のどこかでの再稼働」を想定しており、“8月ピンポイント”はあくまで社内工程上の最短シナリオという位置づけです。neimagazine.comreuters.com
  4. 技術要件はクリア目前でも
    燃料装てんや使用前検査は順調に進む公算が高いものの、「技術的に動かせる」と「社会的に動かせる」は別物。知事同意が無い限り物理的に炉を起動できません。

どう見るか(投資家・電力需給の視点)

視点意味合い
東電株価市場は既に FY25 再稼働を一定程度織り込み済み。8月実現が潰えても “FY25 中”シナリオが崩れない限り急落は限定的と予想。
電力需給首都圏夏場ピーク対策としては他社火力の出力増・省エネ要請が前提に組み込まれており、8月稼働がなくても計画停電リスクは低い。
燃料費・収益インパクト稼働1基あたり年間1,000億円規模の燃料費削減効果。8月稼働と来春稼働では FY26 通期利益への寄与度が約7か月分ずれる。

今後2か月で注目すべきチェックポイント

  1. 6月〜7月:県主催公聴会の論点と参加者数・報道トーン
  2. 7月下旬:県の独自意識調査結果の公表タイミング
  3. 8月上旬:知事会見スケジュールが入るか
  4. 東電の検査工程:原子炉起動準備(制御棒・圧力容器検査)の進捗リリース
  5. 県議会臨時会の開催有無(知事判断後の同意手続き用)

結論(暫定)

2025年8月中に柏崎刈羽原発(6号機または7号機)が実際に営業運転を開始できる確率は、おおむね 5〜15 % 程度と見るのが妥当
(各ステップの“通過率”を掛け合わせた概算値:8 % を中心に上下 ±数%の幅)

技術的な最短ルートはすでに見えていますが、知事判断という政治的関門が依然として最大の不確定要素です。夏までの県民説明プロセスの動向次第で確率は大きく変動し得るため、上記チェックポイントをフォローしておくと良いでしょう。

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