OKLOとSMR、次世代原子炉2社の現在地 ── 「実物を動かし始めたOklo」と「契約を待ち続けるNuScale」

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(2026年8月20日時点の公表情報・報道に基づく記事です。本記事は投資助言ではありません)

AIデータセンターの電力需要を背景に、米国市場で「次世代原子炉」テーマの中核として扱われてきたのがOklo(ティッカー:OKLO)とNuScale Power(ティッカー:SMR)だ。どちらも2026年は株価が年初来35%前後下落しており、テーマ株としての熱狂は一巡した。しかし事業の中身を見ると、両社は今まったく違う局面にいる。片方は実物の原子炉を動かし始め、もう片方は巨額の現金を積んで「最初の大型契約」を待っている。それぞれの現状を整理する。

Oklo ── 229日で建てた炉が臨界。「作れること」を証明したフェーズ

Okloはナトリウム冷却高速炉「Aurora」(1基あたり最大75MWe級のパワーハウス構成)を開発する企業で、規制面ではNRC(米原子力規制委員会)の通常審査に加え、トランプ政権の大統領令で創設されたDOE(エネルギー省)の「Reactor Pilot Program」による認可ルートを併用しているのが特徴だ。

今年の最大のニュースは8月に入ってからのものだ。同社のアイソトープ製造用試験炉「Groves One」がわずか229日で建設を完了し、8月5日に初臨界を達成した。初期の原子力黎明期を除けば、現代の環境規制・DOE規制下で建設された非軍事炉として米国最速であり、民間資金・民有地で建てられたパイロット炉としては初の臨界例となる。DOEが掲げた「2026年7月4日までの臨界」という目標には間に合わなかった(競合4社は達成)ものの、「Okloは炉を実際に速く建てられる」ことを実物で示した意味は大きい。この炉を核とした医療・産業用アイソトープ事業は2027年初の収益化が見込まれている。

本命のAurora初号機(Aurora-INL、アイダホ国立研究所)も進んでいる。2025年9月に起工し、DOEとの協定(2026年3月)、安全設計承認、EBR-II使用済燃料由来のHALEU 5トンの燃料割当と手続きを重ね、2028年の初号機稼働を目標に掲げる。建設は大手Kiewitが主導し、燃料製造施設(A3F)の建設も承認済み。6月にはCentrus Energyと最大5基分のHALEU供給に関する基本合意も結んだ。

需要側の顔ぶれは華やかだ。データセンター事業者Switchとの12GWのマスター電力契約、そして今年1月にはMetaがオハイオ州の1.2GW電力キャンパスの開発資金を前払いする契約を締結。Equinix、Diamondback Energyなどとの基本合意書(LOI)も積み上がる。第2四半期には会社として初の四半期売上を計上し、手元資金は16億ドル。2026年は営業活動での資金流出1.2億〜1.5億ドル、設備投資4億〜5億ドルを見込むガイダンスで、当面の資金は足りている。

要約すれば、Okloは「約束の段階」から「実物で証明する段階」へ移行しつつある。ただし売上らしい売上は2027年のアイソトープ事業まで無く、Auroraの商業収益はさらに先だ。

NuScale ── 売上7.5万ドルと現金19億ドル。「認証はあるが注文がない」

NuScaleは加圧水型の小型モジュール炉(NuScale Power Module、77MWe級を複数連結)を開発し、米国でNRCの設計認証を取得した唯一のSMR企業という規制上の金看板を持つ。DoosanやFramatomeなど60社超のサプライチェーンを構築し、長納期部品の製造にも着手済みと、「注文が来ればすぐ作れる」体制を整えたのが同社の主張だ。

しかし8月5日に発表された第2四半期決算は衝撃的だった。四半期売上高はわずか7.5万ドル(前年同期805万ドルから99.1%減)。ルーマニアRoPowerプロジェクト向けFEED(基本設計)業務が2025年末に完了し、それに代わる請求可能な業務がまだ無いためだ。パイプラインの中心は2つある。ひとつは戦略パートナーENTRA1経由で交渉中のTVA(テネシー川流域開発公社)との6GW展開に向けた電力購入契約で、成立すれば米国史上最大級の原子力展開プログラムになる。もうひとつはルーマニア・ドイチェシュティの旧石炭火力跡地に6モジュールを建てるRoPowerで、欧州で最も進んだSMR案件とされ、株主承認を経て建設前段階(プレEPC、約1年強)に入りつつあり、契約が整えば2027年に収益化しうる。ただしどちらもまだ「交渉中」「条件整備中」であり、確定受注ではない。

財務は潤沢だ。現金・投資は19億ドルと前四半期から9億ドル増えた。ただしその増加の源泉は株式発行である。発行済株式数はこの1年で約3倍の3.65億株に膨張し、さらに7.5億ドルの追加売出し(ATM)を届け出た。売上ほぼゼロの会社が市場から資金を吸い上げて「戦時資金」を積む構図で、8月18日には決算内容と追加希薄化を嫌気して株価は6%下落の8.66ドルとなった。1年トータルリターンは約マイナス77〜80%に達する。

要約すれば、NuScaleは「認証・サプライチェーン・現金はあるが、確定契約と売上がない」。TVAかルーマニアのどちらかが契約に変われば景色は一変するが、それまでは希薄化と資金燃焼が続く。

両社の対比

Oklo(OKLO)NuScale(SMR)
炉型ナトリウム冷却高速炉(Aurora、〜75MWe)加圧水型SMR(77MWe×モジュール連結)
規制の現在地DOEパイロット認可+NRC審査を併走NRC設計認証を取得済(唯一)
実物の進捗試験炉が8月に臨界、Aurora初号機2028年目標実機建設は未着工(RoPowerがプレEPC段階)
主要顧客・案件Meta 1.2GW前払い、Switch 12GW契約TVA 6GW(交渉中)、ルーマニアRoPower
直近四半期売上初の売上計上(小規模)7.5万ドル
手元資金16億ドル19億ドル
希薄化相対的に穏当株数1年で約3倍+7.5億ドルATM届出
株価(8月18日)41.62ドル(年初来約-35%)8.66ドル(年初来約-35%、1年で-77%)

まとめ ── 同じ下落率、違う理由

両銘柄とも年初来では同じような下落率だが、その中身は対照的だ。Okloは「実行リスク」の会社になった。炉は建ち、臨界し、顧客も燃料も押さえた。あとは2028年のAurora初号機と2027年のアイソトープ収益化を予定通り実行できるかが問われる。NuScaleは依然「契約リスク」の会社だ。技術と認証は揃っているのに、10年近く待ち続けた確定受注がまだ無く、その間の運転資金を株主の希薄化で賄っている。

投資家として追うべきマイルストーンは明確で、OkloならAurora-INLの建設進捗とアイソトープ初収益、NuScaleならTVAとの電力購入契約の締結可否とRoPowerの建設移行、そしてATM売出しの消化ペースだ。次世代原子炉が「テーマ」から「事業」になる過程で、2社の明暗はこれから本格的に分かれていくことになる。

参考

  • Foreign Policy Journal「Oklo Sets Modern U.S. Nuclear Construction Record With 229-Day Reactor Build」(2026年8月18日)
  • World Nuclear News「DOE approval milestone for Oklo reactor」(2026年6月11日)
  • Benzinga「Oklo Reports First Revenue」(2026年8月)
  • The Motley Fool「NuScale Power (SMR) Q2 2026 Earnings Call Transcript」(2026年8月12日)
  • 24/7 Wall St.「NuScale Power Falls 6% With Q2 Revenue Drop to $75,000 and a New $750M Share Sale」(2026年8月18日)
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