詳細が分かりました。2025年12月29-30日の貴金属暴落について調査結果をまとめます。
2025年12月29-30日 貴金属暴落の概要
価格変動サマリー
貴金属史上最高値(12/29朝)暴落後安値下落幅銀$84.03/oz$71-73.72/oz-10%〜-14%金$4,549.71/oz$4,345-4,470/oz-4%〜-4.5%プラチナ$2,478.50/oz$2,125-2,305/oz-6%〜-14%パラジウム~$2,000/oz$1,669/oz-13%〜-16%
銀は2021年以来最大の1日下落 MINING.COMを記録。パラジウムは2020年以来最大の日中下落幅 Yahoo Financeとなった。
暴落の主要因(5つ)
- CMEの証拠金引き上げ(最大の直接要因)
12月26日にCME Advisory No. 25-393が発表され、3月限銀先物の証拠金が$22,000から$25,000に13.6%引き上げられた。これは14日間で2度目の引き上げであり、年初と比較して証拠金は実質3倍に FinancialContent。この措置によりレバレッジの高いロングポジションが強制清算され、「フラッシュクラッシュ」を引き起こした FinancialContent。1980年のハント兄弟の銀買い占め失敗(シルバー・サーズデー)を想起させる展開となった。 - ウクライナ和平交渉の進展
トランプ大統領がゼレンスキー大統領との会談後、「合意にかなり近づいている」と発言 CNBC。これにより長年貴金属価格に織り込まれてきた「戦争プレミアム」が急速に縮小 FinancialContentし、セーフヘイブン需要が減退した。 - 歴史的上昇後の利益確定売り
2025年の年間パフォーマンスは驚異的だった:
銀:年初来+181% CNBC
金:年初来約+72% CNBC
先週の銀+18%という週間上昇率は45年以上で最大 ScanXであり、RSIは70超のオーバーボート状態。年末を前に利益確定が集中した。
- 年末の薄商い・ポジション調整
薄い流動性が価格変動を増幅 Bloomberg。ヘッジファンドの年末リバランス、コモディティインデックスの調整が重なった。 - ドル高
Q3 GDP成長率+4.3%という強い経済指標を受け、ドル指数(DXY)が98.3に安定 FinancialContent。ドル建ての貴金属は海外投資家にとって割高となった。
背景:なぜ2025年にこれほど上昇したのか
銀の構造的供給不足
中国が世界の精製銀市場の60-70%を支配。2026年1月1日から輸出ライセンス制を導入予定 Yahoo Finance
COMEX在庫は5年間で約70%減少、中国国内在庫も10年来の低水準 Yahoo Finance
5年間の累積赤字は8.2億オンスに達し、鉱山生産が需要に追いつかない Red94
上海とCOMEXの価格乖離
上海の現物銀は$91/ozで取引される一方、COMEXは$77/ozと大幅な乖離 Campbellrambleが発生。現物市場の逼迫を示している。
SNSで拡散した未確認の噂
「大手銀行が$23億のマージンコールに失敗した」という噂がX(旧Twitter)やRedditのr/WallStreetSilverで拡散 Benzinga。ただし規制当局、FRB、主要メディアからの公式確認はなく、アナリストは仮に$70億の損失でもJPモルガンやUBSのような大手には管理可能と指摘 Benzingaしている。
今後の見通し
強気派の見解
UBSは金価格目標を2026年Q1-Q3に$5,000/ozに引き上げ(従来は2026年末$4,300) ScanX
ゴールドマン・サックスは2026年の銀を$85-100レンジと予想 Red94
小売投資家の57%が2026年に銀$100超えを予想(Kitco調査) Red94
注意点
アナリストのキャンベル氏は「ここで新規買いはしない。押し目で買い増しを」と助言 Benzinga
1月の税金売り、さらなるドル高、追加の証拠金引き上げがリスク
2026年Q1には$70のダブルボトムを試す可能性、その後中国の輸出規制発効で$100を目指す展開も FinancialContent
結論:今回の暴落は、2025年の歴史的な貴金属ラリー後の「健全な調整」と見る向きが多い。CMEの証拠金引き上げとウクライナ和平期待が重なった年末特有の売り圧力だが、銀の構造的供給不足と中国の輸出規制という強気要因は健在。短期的なボラティリティは続くものの、中長期的には上昇トレンド継続との見方が優勢。