タイミー株価上昇の背景(2025年5月中旬〜6月中旬)

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直近1ヶ月でタイミー(Timee)株価は大きく上昇し、2025年6月18日には年初来高値となる1,972円を記録しましたfinance.yahoo.co.jp。5月下旬時点で1,700円前後だった株価は約13〜15%上昇し、6月中旬に急騰しています。この株価上昇の背景には、好調な業績発表や新事業展開、業界全体の追い風、そして投資家・アナリストからの高評価が複合的に作用しています。以下では、それぞれの要因を詳しく整理します。

株価の推移と具体的な上昇率

2025年5月下旬〜6月中旬にかけてのタイミー株価終値(円)の推移。5月末から6月中旬にかけて上昇トレンドが鮮明となり、6月18日に年初来高値を更新した。finance.yahoo.co.jpkabutan.jp

  • 5月下旬〜6月上旬: 5月23日の終値は約1,706円で、その翌週5月26日に1,829円へと急伸しましたfinance.yahoo.co.jp。これは約7%の上昇で、同社が地方自治体との連携(福井県坂井市や新潟県五泉市との包括協定など)を相次ぎ発表したことや、人手不足解消への取り組みが注目されたことが一因と考えられます。また、5月2日には既に国内証券から**「強気」評価(目標株価2,100円)が示され、アナリストコンセンサスも「強気」かつ目標株価2,146円**という水準でしたkabuyoho.ifis.co.jp。このようなポジティブな見方も株価の下支えとなり、5月末に一時1,895円(5月28日高値)まで買われる場面がありました。
  • 6月中旬の急騰: 6月12日には2025年10月期第2四半期決算が発表されlogi-today.com、翌営業日の6月13日に株価は**終値1,809円(前日比+7.2%)**まで上昇しましたfinance.yahoo.co.jp。その後いったん小幅調整するも、**6月18日には終値1,933円(前日比+9.3%)と急伸し年初来高値を更新していますkabutan.jp。この急騰の直接の契機は、大手証券による強気の目標株価引き上げでした。モルガン・スタンレーMUFG証券が6月17日付で目標株価を2,200円から2,300円に上方修正(投資判断「オーバーウェート」継続)**し、それが材料視されていますkabutan.jp。市場ではこのレポートを好感し、出来高も伴って株価が大幅上昇しました。

以上のように、5月中旬〜6月中旬にかけて株価は概ね右肩上がりのトレンドを描きました。とりわけ決算発表前後とアナリスト評価引き上げ時に大きな上昇が見られ、約1ヶ月で株価は1割以上上昇しています。

業界ニュースやマクロ経済動向の影響

タイミーの属する人材・求人・短期アルバイト業界全体にも追い風となる環境変化が見られます。業界やマクロ経済の動向として、以下の点が株価上昇の背景に挙げられます。

  • 労働需給の逼迫と賃金上昇: 2025年に入り日本全体でアルバイト時給が上昇傾向にあります。例えば2025年5月の全国平均時給は1,306円となり、調査開始以来初の1,300円台に達しました(前年同月比+71円)mynavi.jp。特に飲食・フード職種では5ヶ月連続で時給が上昇し1,209円に達するなど、サービス業界の人手需要回復が顕著ですmynavi.jp。これはコロナ禍からの景気回復や観光需要増に伴い、人手不足が深刻化していることを示しており、短期人材マッチングサービスへの需要拡大につながっています。このようなマクロ環境はタイミーの事業拡大に追い風となり、株式市場でもポジティブに評価されました。
  • 競合動向(<small>スポットワークサービス市場</small>): 業界内競争環境もタイミーに有利に働きました。最大手リクルート社は2025年3月、「タウンワークスキマ(仮称)」という独自のスキマバイトサービス開発を中止すると発表しており、市場参入の動きが後退していますjp.investing.com。この競合撤退のニュースは、タイミーのような既存プレイヤーにとってシェア獲得の好機となりました。実際、リクルート撤退報道直後の3月下旬に**SBI証券がタイミーを新規「強気」評価(目標株価2,430円)でカバレッジを開始しており、市場では「競争激化懸念の後退」**が株価押し上げ材料として好感されましたjp.investing.com。さらに、人材業界では他の競合サービス(例:シェアフル等)との競争はあるものの、タイミーは先行者メリットと独自の取り組みで優位性を維持しているとの見方が強まっています。
  • その他の業界トレンド: 物流業界の「2024年問題」(働き方改革関連法施行によるドライバー残業規制強化)などで各産業に人手不足が広がる中、スポット人材サービスの重要性が増しています。タイミーは農業・漁業など一次産業や介護・ホテル業界へもサービス展開を広げており、これら業界課題(高齢化による人材不足等)へのソリューション提供が注目されていますminkabu.jp。投資家向けレポートでも「低調だった飲食向けが底打ちし、介護やホテル向けも着実に拡大」と指摘されておりkabutan.jp人手不足という社会課題が同社にとって成長機会となっている点が評価されています。

決算発表・新規事業・提携など企業側の要因

タイミー自身の業績好調や事業展開に関する発表も、株価上昇を支える重要な要因となりました。特に直近では2025年6月12日に発表された決算およびその内容が注目されました。また、新規事業や提携による成長戦略も評価材料となっています。

  • 好調な業績(2025年10月期2Q決算): 6月12日に発表された2025年10月期第2四半期(上期)決算では、売上高164億6,000万円(前年同期比+32.2%)営業利益32億6,000万円(前年同期比+89.9%)と大幅な増収増益を達成しましたlogi-today.com。同社サービス上での流通総額も565億円に達し、順調な成長ぶりを示しましたlogi-today.com。これらの好決算は株価に織り込み済みとの見方も一部ありましたが、市場予想を上回る成長率や高い営業利益率などが改めて評価され、株価上昇の原動力となりました。
  • 物流業界向け「受入負荷軽減プロジェクト」の成功: 決算説明では、特に物流業界向けの新ソリューションが業績に寄与したことが強調されています。同社は物流業界の深刻な人手不足に対応するため、スポットワーカーを効率的に受け入れる体制づくりを支援する「受入負荷軽減プロジェクト」を本格展開しました。その結果、主要物流企業の複数拠点で試行が進み、1拠点あたり最大1日330人のワーカー受け入れを実現するケースも出るなど、流通総額と売上成長に大きく貢献しましたlogi-today.com。上期末時点で大手物流企業20拠点と正式合意、約40拠点で導入の大枠合意がなされており、下期以降は繁忙期に向けさらに導入拠点が急増する見通しですlogi-today.com。このように、単なるマッチングサービスに留まらず企業の生産性向上に踏み込んだ支援策が奏功している点が、投資家から高成長持続の根拠として評価されています。
  • 新規事業・サービス展開の拡大: タイミーは元々飲食店や小売店の短期アルバイトマッチングで成長してきましたが、現在は一次産業(農業・漁業)や介護領域への進出にも力を入れています。2025年6月には一次産業のスポットワーク利用実態レポートを公開し、過去2年間で農林水産業分野のタイミー掲載事業所数が約8.7倍に増加したことを明らかにしましたnote.com。特に「全員タイミー店舗」のように現場の労働力をタイミー経由でまかなうモデルケース(例:飲食チェーンでの実証)も登場しており、新たな市場創造の事例として注目されていますnote.comnote.com。また、介護業界向けには専門チームを立ち上げ、有資格者のデータベースを活用してマッチングを強化するなど、人材不足が深刻な領域へのサービス拡充を図っていますcorp.timee.co.jp。これら新規事業の進展は、中長期的な成長余地として投資家にアピールする材料となりました。
  • 戦略的提携・コラボレーション: 短期人材サービスの認知拡大と供給力強化を目的に、同社は積極的に外部提携も行っています。直近では2025年6月13日、一般社団法人フィッシャーマン・ジャパンとの業務提携を発表しましたdiamond.jp。この提携により、東北地方を中心に漁業・水産加工業へのタイミー活用を推進し、「1日だけ水産業で働く」といった柔軟な就業機会を提供する取り組みを開始していますdiamond.jp。水産業界の人手不足解消や漁師の副業支援につながるこのプロジェクトは社会的意義も大きく、ニュースリリース後に同社株が買われる一因となりました。また5月下旬には福井県坂井市や新潟県五泉市とそれぞれ包括連携協定を締結し、地方自治体と組んで地域の人材不足解決に乗り出していますprtimes.jp。さらに、テレビ番組とのコラボ求人(2025年6月のABCテレビ「リア突WEST」との企画)など広報効果の高い施策も展開し、ユーザー・クライアント企業双方の獲得に寄与しました。これら一連の企業発表や提携のニュースが相次いだことで、マーケットにも同社の積極的な成長戦略が印象付けられ、株価の支援材料となりました。

投資家やアナリストによる評価・レポート

上記のような業績の伸長と事業展開を受けて、機関投資家やアナリストからも高い評価が示されました。特に証券各社のレポートや目標株価の引き上げは、市場心理を大きく後押ししています。主な評価・レポート動向は以下の通りです。

  • モルガン・スタンレーMUFG証券(外資系): 2025年6月17日付でタイミー株のレポートを発行し、投資判断「オーバーウェート(強気)」を継続、目標株価を2,300円に引き上げましたkabutan.jp。同社は「飲食向け需要の底打ち」「物流向けプロジェクトなど短期利益拡大策の奏功」「介護・ホテル向け事業の着実な拡大」を根拠に、中長期成長見通しに自信を示していますkabutan.jp。また「IPO(上場)から約1年が経過しバリュエーションが安定してきた」とも指摘されており、株価評価面での不透明感後退も強気継続の理由としていますminkabu.jp。このレポート公開後に株価が急騰したことからも、市場へのインパクトが大きかったことが窺えます。
  • SBI証券(国内大手ネット証券): 前述の通り、**3月下旬に新規で強気の投資判断(目標株価2,430円)**を付与しましたjp.investing.com。これはライバルであるリクルートの新規サービス中止が伝わった直後であり、競争環境の好転を評価した内容でした。「競合撤退によりすきまバイト市場の成長余地が確保される」との見方から強気な目標株価が示され、タイミー株はその直後に19%高となる場面もありましたjp.investing.com。SBI証券のレポートは個人投資家にも広く共有されやすく、同社株への関心を高める効果を持ったと言えます。
  • 国内証券各社のコンセンサス: 2024年10月の新規上場以来、タイミーには複数の証券アナリストがカバレッジを開始しており、5社程度のアナリスト予想コンセンサスは「強気(Buy)」に偏っていますkabuyoho.ifis.co.jp。例えば5月初旬にはある中堅証券が目標株価2,100円で強気評価を発表しており、発表時点での目標株価コンセンサスは約2,146円でしたkabuyoho.ifis.co.jp。これは当時の株価水準(1,700円台)を大きく上回る水準で、アナリスト陣が同社の高成長ストーリーを信頼していたことを示します。こうした強気コンセンサスの存在は、下落局面でも株価を支える要因となり、好材料が出れば迅速に株価に反映される土壌を作りました。
  • 個人投資家・市場のセンチメント: 人材サービス分野はテーマ株として個人投資家からの注目も集めやすく、タイミーは上場後まもなく時価総額1,000億円規模に達した成長株として話題になっていました。株式SNSや掲示板でも業績拡大や新施策に関する投稿が増加し、「成長期待銘柄」としてピックアップされる傾向がありました。特に決算内容や提携ニュースが出た直後には個人投資家の買いも活発化し、株価のボラティリティ増大につながりました。もっとも、6月13日に米系大手証券の一社が一時的に投資判断を中立に引き下げた(ただし目標株価は1,900円に引き上げ)との報道もありましたがjp.investing.com、市場全体の強気ムードの中で株価への影響は限定的でした。

以上のように、タイミーの株価上昇は「業績・事業の実態面での好調さ」と「市場・投資家の評価面での好循環」がかみ合った結果と総合的に分析できます。人手不足という社会的追い風の下、同社は各産業へのサービス拡大と収益成長を実現し、それを裏付ける決算・発表をタイムリーに行ってきました。それに対し投資家やアナリストが高い成長期待を示し、強気の評価や目標株価の引き上げが相次いだことで、株価はこの1ヶ月で顕著な上昇を遂げたと言えるでしょうlogi-today.comkabutan.jp

Sources: タイミー決算説明資料【13】; ロジスティクス・トゥデイ (2025/6/13)【13】; 株探・みんかぶニュース【24】【5】; マイナビニュースリリース【17】; 投資家向け情報【32】; フィスコニュース【27】; Investing.com記事【22】; IFIS株予報【32】; PR Timesほか各種プレスリリース【28】

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