日米関税交渉の最新の動向

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直近の協議結果(5月1日‐2日, ワシントン)

  • 第2回閣僚協議は“突っ込んだ議論”
    赤沢亮正・経済再生相とベセント財務長官らが2時間超会談。自動車・鉄鋼・アルミなど既発動/発動予定の追加関税の見直しを日本側が要求したが、米側は大幅な譲歩を示さず、具体的な合意には至らず。事務レベル協議を3日から開始し、次の閣僚級は5月中旬以降で調整へ。Reuters Japan
  • 米国の姿勢:関税維持が基本線
    米財務省は「率直かつ建設的」と表現する一方、米政府内では乗用車25%・共通10%など高関税維持が交渉カードとの見方が強く、日側は難航を警戒。Reuters
  • 日本側の対案と“カード”
    • 非関税障壁(型式認証簡素化など)の見直し
    • 米国産農産物(トウモロコシ・大豆・コメ)の追加輸入
    • エネルギー・経済安保協力の拡大
      さらに加藤勝信財務相はテレビ番組で、日本が保有する**1.13兆ドルの米国債を「交渉カードになり得る」**と発言。売却を示唆したわけではないが、米財務省の牽制材料として存在を示した形。AP News

今後のタイムライン

時期予定注目ポイント
5月3日〜事務レベル協議(ワシントン)自動車関税・農産物枠の数字をどこまで詰められるか
5月中旬〜第3回閣僚協議首脳会談へ向けた「パッケージ草案」の提示
6月中旬G7サミット(カナダ)石破首相とトランプ大統領の首脳合意の可否
7月上旬日本向け24%関税発動期日交渉決裂なら自動的に発動、円安圧力と株価下押し要因

市場・政策インプリケーション

  1. 自動車セクター
    合意失敗で24%関税が発動すると、完成車メーカーのみならず部品サプライチェーンにも直接打撃。関税コストは試算で約2.1兆円/年。国内減産→雇用縮小リスク。
  2. 為替・債券市場
    日本側が米国債カードを“封印”できるかが焦点。実際の売却は資本損失が大きく現実味に欠けるが、市場に織り込まれるだけで米長期金利上昇・ドル安/円高バイアス。
  3. 農業・エネルギー
    日本が追加輸入を受け入れる場合、国産農家の補填策が不可欠。エネルギーでは米国産LNG調達拡大が議題、為替・燃料コスト面で電力株(9500番台)にプラス要素。
  4. 政治日程
    日本は7月の参院選を睨み“大幅譲歩は困難”。米側も2026中間選挙の支持基盤向けに強硬姿勢を崩しにくい。妥結は「自動車関税凍結+農産物枠拡大+一部工業品関税引下げ」が落とし所との観測。

まとめ

今回はまだ“助走段階”。株式・為替ポジションは 5月中旬の閣僚協議まで短期モメンタム、6月サミット直前にヘッジ(円コール/TOPIX先物ショート等)を積むのがセオリー。日米とも選挙絡みで“時間稼ぎ”傾向が強いので、6月合意を逃せば7月の関税発動シナリオを本線に。

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