関西電力(9503)業績趨勢
(数字は連結、単位:億円・%は前年同期比)
FY24※実績(~25/3) | 増減 | FY25計画(~26/3) | 増減 vs FY24 | |
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売上高 | 43,371 | +6.8 | 40,000 | ‑7.8 |
営業利益 | 4,689 | ‑35.7 | 3,800 | ‑19.0 |
経常利益 | 5,317 | ‑30.6 | 4,000 | ‑24.8 |
当期純利益 | 4,203 | ‑4.9 | 2,950 | ‑29.8 |
年間配当 | 60円→増配維持 | +10円 | 60円(予定) | - |
株主持分比率 | 31.8 | +6.6pt | ― | ― |
※FY24=2024/4/1‑2025/3/31。 関西電力
1. 何が起きたか
- 売上高は増加:販売電力量と卸売り(他社向け)が伸長。
- 利益は急減:
- 原油・為替が下落した結果、**「燃料費調整のタイムラグ」**で売電単価が伸び悩み。
- 火力・修繕・需給調整費も増加。
- N値は好転:原子力容量率は 88.5 %(+11.9 pt) と高水準。関西電力
2. セグメント別の痛手
セグメント | 売上高増減 | 利益増減 | コメント |
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エネルギー(発電・小売) | +2,051 | ‑1,725 | タイムラグの直撃+他社購入電力増。 |
送配電 | +472 | ‑683 | 系統設備増強と容量拠出金負担。 |
情通(eo光・mineo) | ‑18 | ‑5 | モバイル販管費増。 |
生活・BtoBソリューション | +272 | +38 | 再エネ販売&省エネサービス拡大。 |
3. 財務体質
- 営業CF 5,898 → 2,478 億円(火力燃料の前払縮小で前年が高水準だった反動)。
- フリーCF 2,476 億円(前年 7,269 億→平常化)。
- 有利子負債 4.47 兆円(▲0.1 兆)でも、自己資本比率向上でレバレッジ改善。関西電力
4. FY25 ガイダンスの読み解き
主な前提 | FY24実績 | FY25想定 | 感応度(経常利益) |
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原子力容量率 | 88.5 % | 75 % | +50億円/1 pt |
CIF原油 | 82 $/bbl | 85 $/bbl | ▲11億円/1 $ |
為替 | 153 ¥/$ | 150 ¥/$ | ▲26億円/1 ¥ |
定検入りで稼働率が落ちる分を、卸電力販売とコスト削減でどこまで吸収できるかが焦点。
5. 事業トピック
- 使用済み燃料ロードマップ:福井県知事が改訂計画を了承(25/3/24)。燃料貯蔵スペース確保が進み、既設原発の長期稼働リスクが後退。関西電力
- GX投資:再エネ開発・火力ゼロカーボン化・水素混焼で 2030 年度までに 1 兆円規模。
- 非電力強化:SkyDrive へ追加出資(eVTOL 事業)。小売自由化後の収益源多角化。
6. 投資視点(私見)
ポジティブ | ネガティブ |
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① 原発比率高で燃料高局面に強い ② 自己資本比率30%台へ、財務耐性◎ ③ 配当利回り 4%台(60円維持想定) | ① タイムラグ影響はまだ残る(燃調式改定までは利益変動大) ② 25年度は定検集中で原発稼働率↓ ③ GX投資期はCF逼迫・減配リスクに要注意 |
まとめ
- **今期(FY24)**は「売上増・利益減」。タイムラグが最大の敵。
- **来期(FY25)**は利益さらに+1段下げ想定だが、配当60円は維持予定。